今日は労働法研究で著名な早稲田大学島田教授の
講演を聴講してきました。
テーマは「労働法と管理職」について。
最近の管理職問題を受けてか会場はかなりの人で
埋まっていました。
社労士として、管理職問題については、常日頃から実践的な対応が
求められる分野ですが、今回の講演は実践的な実務セミナーではなく、
法理論や裁判例を中心に考察するアカデミックな内容でした。
人事・労務を生業にする者にとって、法理論とその解釈は
実務をこなしていく上で幹となる部分です。
そういう意味で、こうした機会を通じて自らの法認識と理解を
深めることは意義あることだと思います。
管理職を取り巻く昨今の労働問題は、労働時間主義を前提とする
現行法制上では解決が難しい問題です。
しかし、難しいといったところで未来において進歩がなければ
法律を作る意味も法治国家の意味もないように思います。
今日の講演を聴いていて、ふと古代ローマ人のことを思い返しました。
古代ローマ人は法の民でしたが、同時に現実主義者であったことでも有名です。
彼らは、法律ですべての現実的問題や紛争を解決することはできないが、
社会において適度なバランスを取れることは知っていました。
ローマ人の教えではありませんが、法律とは要は
人間社会のバランスをとるためのインフラに他なりません。
また、インフラである以上はメンテナンスが不可欠です。
メンテナンスはその時代その時代に合ったやり方で
なされるのがセオリーです。
そう考えれば、必ず進歩・改善する道が開けるはずです。
ポイントは、現代の日本人がローマ人のように現実主義者に徹して
その手腕を発揮できるかどうかだと思います。